道路啓開と重機活用が救命の鍵/吉武明彦氏(佐賀消防署)
2026年06月22日(月)
SAGA建設技術フェア2026
佐賀広域消防局佐賀消防署消防2課長の吉武明彦氏は11日、「大規模災害発生時における消防機関と建設業界の連携」と題して講演した。過去の災害対応で得た教訓を基に、消防機関だけでは対応が難しい道路啓開や瓦礫・土砂の除去、倒壊建物周辺の安全確保などで、建設業の重機、資機材、熟練した施工技術が不可欠になると説明した。
吉武氏は、東日本大震災、熊本地震、能登半島地震などを例に、大規模災害の初動で最大の障害となるのは、救助隊が現場へ進入できない道路状況だと指摘した。消防車両や緊急消防援助隊が被災地に入れなければ救助活動は始まらず、発災後72時間が生存率を左右する中で、道路啓開の遅れは人命救助に直結する課題になるとした。
一方で、消防が保有する重機は小型が中心で、大量の土砂や流木、倒壊構造物を迅速に処理するには能力に限界があると説明。建設業者が保有するバックホウやクレーン、ダンプ、鉄板などの資機材と、現場を熟知したオペレーターの判断力が、救助隊の活動空間を確保し、二次災害の防止にもつながると強調した。特に、地域の道路幅員、迂回路、地盤の弱い箇所を把握する地元建設業者の情報は、土地勘のない応援部隊にとって重要な支援になると述べた。
具体的な連携の在り方として、従来の「建設業者が啓開し、消防が後から入る」分業型だけでなく、救助隊と重機部隊が当初から同じ現場に入り、検索、救助、障害物除去を一体的に進める運用を提案した。能登半島地震での重機とスコープを組み合わせた生存者確認や、危険時に消防隊員と重機オペレーターが同時に退避する連携を紹介し、平時からの手順共有が必要だとした。
また、2017年九州北部豪雨で、消防隊の捜索、建設業者による流木除去、災害救助犬のサーチを組み合わせた活動にも触れた。犬が捜索する際は重機のエンジンを停止するなど、特殊な活動に応じた調整も求められるとした。山林火災ではミキサー車による水利確保訓練など、建設関連団体との協定を実動に結び付ける取り組みも紹介した。
平時の備えでは、防災協定を連絡先、集合場所、投入重機、責任分担、初動手順まで定めた具体的な計画に落とし込むことを求めた。合同訓練や資機材紹介、LINEなどを含む連絡網の多重化、顔の見える関係づくりを進め、消防と建設業界が地域を守る両輪として連携を強める必要性を訴えた。











