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【インタビュー】小野朋次佐賀河川事務所長/利水と治水で地域を支える

2026年08月20日(木)

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人物

小野朋次佐賀河川事務所長

城原川ダムのイメージ(2018年4月から建設事業に着手し、20年9月から用地調査を開始。24年1月に損失補償基準協定書を調印した。事業諸元は、重力式コンクリートダム、堤高約60㍍、堤頂長約330㍍、総貯水容量約335万立方㍍、計画堆砂量約5万立方㍍。事業費約485億円、予定工期2030年度)

嘉瀬川水系河川整備計画施工箇所位置図

巨勢川調整池ポンプ場(東渕系)

 2020年度の開所から7年目を迎えた国土交通省九州地方整備局佐賀河川事務所。同事務所の所管は、佐賀導水路と嘉瀬川ダムの管理、城原川ダム建設事業、嘉瀬川や筑後川水系城原川の管理など多岐に渡り、4月から所長に就任した小野朋次氏は「利水と治水の両面で地域を支える事務所として担っている責務を職員と力を合わせて果たしていく」と抱負を語る。同氏に所管事業の取り組み状況などを聞いた。


― 所長に就任して感じたことを聞かせてください

 以前、現事務所の前身に当たる佐賀河川総合開発工事事務所に勤務しており、約30年ぶりに同じ事務所に帰ってきた感じがしています。
 もともと佐賀の出身であり、再びここで勤務する機会に恵まれたという思いがある一方で、自分の故郷で仕事ができることに対してより一層の責任があると感じています。自分が担っている任務をしっかり果たしていく、今はそれをひしひしと感じている状況です。


― これまでの勤務で印象に残っている仕事を教えてください

 20年4月から2年間、武雄河川事務所の副所長として勤務し、19年の大規模出水で被害を受けた六角川の激甚災害対策特別緊急事業で牛津川遊水地の整備に携わったことが印象に残っています。
 この時期は、コロナ禍により大人数での対面が難しいという状況でした。そこで職員と知恵を絞り、オープンハウス形式の少人数の説明会、説明動画を製作して住民の方々に回覧してもらうなどの工夫を行い、地元の方々に事業の説明を丁寧にさせていただきました。
 コロナ禍というハードルがあったことと併せ、私たちが事業の必要性をしっかり伝え、理解していただくという説明責任の重さと住民理解の重要性を改めて実感し、大いに学ばせていただきました。


― 城原川ダム建設事業と城原川について

 城原川ダムは、城原川沿川の洪水被害を防ぐことを目的とした洪水調節専用ダム(流水型ダム)です。24年1月に水没予定地の住民の皆さんと損失補償基準の協定を締結し、現在は移転にご協力をいただいている方々の生活再建を最優先して取り組んでいるところです。
 3月に2カ所目の代替地も完成し、本年度中に移転を予定されている方々の生活再建を第一に事業を進めて参ります。それに併せてダム本体や付替道路の設計、必要な諸調査も進めていきます。
 事業費や工期については、今後のダム本体設計・施工計画を踏まえて見直し作業を検討しているところです。
 また城原川は近年、堤防の設計基準となる計画高水位を超える洪水が発生しています。水害に対する安全度の向上を図るため、筑後川水系河川整備計画に基づいて堤防拡幅を順次実施しています。


― 嘉瀬川の整備について

 3月に河川整備計画を変更しましたが、今回は気候変動による降雨の増加を踏まえ、整備計画目標流量を毎秒2200立方㍍から同2900立方㍍に引き上げたことが一つのポイントです。それと画期的だったのは、国と佐賀県が一体となって河川整備計画を変更した点です。
 嘉瀬川は下流~中流区間を国、上流区間を県で管理しています。通常は国と県が別々に計画を作成するケースが多いのですが、今回は国と県が一体となって計画を作り、両者が同じ思想のもとで整備を進めていくことを位置付けた点が非常に大きいと思っています。
 国直轄管理区間(延長33・4㌔)の整備事項を見ますと、新たな河川整備計画に基づく河道掘削に着手します。また、新たに中流部の右岸において遊水地の整備を位置付けたことが大きなポイントになります。嘉瀬川本川に合流する祇園川や東平川などの周辺は、地形的に水が非常に集まりやすく内水にも苦労されています。遊水地については、外水だけでなく内水も考慮しながら検討を進めていくことを考えています。


佐賀導水路堰堤改良に本年度着工


― 佐賀導水路の堰堤改良事業について

 佐賀導水路は、洪水調節、内水被害の軽減排除、不特定用水・水道用水の補給を目的とした治水と利水の機能を併せ持つ施設です。
 24年度に事業化した堰堤改良事業では、老朽化したポンプ施設の機能アップや遠隔制御の二重化などを行い、故障によるポンプ停止リスクの最小化を図ります。また、耐震化が必要な施設の耐震対策も実施します。
 本年度から、巨勢川調整池の東渕系ポンプ場(佐賀市金立町)の改良に着工します。ポンプをガスタービン2基からディーゼルエンジン4基に更新・分割することにより、メンテナンス性の向上、維持管理費のコスト縮減、リスク分散、河川流入量への柔軟な対応などを図ります。
 本年度は、既存施設の隣に新設する建屋の基礎工事を行います。その後、建屋とポンプの設置、既存施設のポンプ更新を順次進めていきます。


― 最後に建設業者へのメッセージを

 建設業者の皆さんは、私たちと一緒になって地域をより良くしていくパートナーだと思っています。後継者不足や職務環境の改善といった諸課題がありますが、担い手の確保は建設業界だけでなく私たち行政も携わるところでもあります。
 皆さんと力を合わせ、次の世代の若い人たちに来ていただけるような職種・職場にしていきたいと考えておりますので、ぜひ一緒になって取り組んでいきましょう。



【略歴】小野朋次(おの・ともつぐ)
 佐賀大学卒。1995年4月建設省(当時)入省。国土交通省九州地方整備局企画部技術検査官、河川部水災害対策専門官、九州地方整備局武雄河川事務所技術副所長、環境省大臣官房環境影響評価課環境影響審査室審査官、九州地方整備局山国川河川事務所長を経て、2026年4月より現職。佐賀県出身。56歳。




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